概要
大学生協と感慨
運営は、組合員から委託された生協の職員が各店舗で行い、運営に関する決定権は組合員にある。組合員の意見から方針が立案され、理事や監査の選出と合わせて、年度毎に開かれる「総会」もしくは「総代会」により決定される。理事は学生、大学教職員、生協職員で構成されることが多い。昨今、各大学生協ごとの運営努力だけでは今まで以上の商品・サービス提供が難しくなってきたため、地域ごとに全国八つの事業連合が組織されている。事業連合は、商品企画・仕入れ、物流業務、経理決算業務、広告広報物作成、生協職員研修等の業務を「業務委託契約」にもとづき実施している。また旅行業務や共済業務は、大学生協連が全国を管轄している。
組合員による自発的な組織とされているため、学生数の多い大学や、自治活動の盛んな大学、売店以外の総合的な営業が望まれている大学に、学生や教職員の要望を基に設立されることが多い。国立大学では教職員・教授会の発言力が強く、私立大学のように理事会が無いため、大学生協の設置は順調に進んだ。しかし、自発的な組織であるが故に、キリスト教や仏教系の大学や、自治活動に消極的な大学では、学生や教職員の要望があっても生協の設立が大学当局により認められない場合も多い。最近は、生協や購買部の代わりにコンビニエンスストアを設置する大学も多い。
全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)に加盟しない店舗を置く大学の一例を挙げる。上智大学、立教大学、拓殖大学:購買部、購買会を設置している。国際基督教大学:三省堂書店を学内に設置し、書籍・文具や生活用品を販売している。学習院大学:学校法人内に学生・教職員の福利厚生サービスを担当する部署を設け、法人傘下の学校すべての学食・購買部を経営している。筑波大学(旧図書館情報大学を含む):厚生会を通じて入居する民間企業によって売店や食堂が運営されている。青山学院大学:学校法人が出資するアイビー・シー・エス(旧・青学サービス)により購買店舗(青山学院購買会)や食堂が運営されている。中央大学、関西大学:それぞれ中央大学生活協同組合・関西大学生活協同組合という巨大生活協同組合はあるが、全国大学生協連には加盟していない。桃山学院大学:桃山学院大学生活協同組合があるが、地域生協が主体の事業連合組織である生活協同組合連合会きらりに加入しており、全国大学生協連には加盟していない。専修大学:かつては大学生協が設置されたものの、大学当局によって解体された。現在は同学傘下の「専大センチュリー」が「専修大学出版局」「専修大学購買会」などを運営し、キャンパス内における旅行商品の取り扱い、生保、損保商品の代理店業、下宿用アパートの斡旋などを行っている。更に「専修大学購買会」の下に紀伊國屋書店が「専修大学ブックセンター」を開設し、教科書・書籍・文具などを扱っている。
独占禁止法第23条5項の適用除外(いわゆる「除外の除外」)規定により再販売価格維持契約を遵守する義務を負わないため、書籍・雑誌・CDなどを市販価格(定価)の1割引程度の価格で組合員に対して提供している所が多い。文房具なども市価より安く提供している所が多い。ただし、民間などによる運営でも、生協と同じく商品の値引きを行う場合がある。
大学生協と自然環境
大学生協といえば、やはり大学構内の中にこぢんまりとあり、なにかちょっとした時の買い物にはとても重宝している。最近ではもう少し規模が大きくなり、コンビニエンスストアと思えるほど大きな店舗も存在するようになってきた。ただ、一昔前の生協は自然とともにあり、のどかな雰囲気を醸し出していたのも事実である。つまり、現代社会では失われた人と人との触れ合いが多分にあった、温かみのある店舗である。学生自体ものんびりしているもので、ちょっとした会話を楽しむたまり場となっていたこともある。